室生犀星

馬込文士村ってなに?

山本周五郎

大正12年関東大震災後、東京には作家や芸術家が自然に集まった地域が四つほどありました。それらを後に文士村と呼ぶようになりました。そのうちの一つが馬込文士村です。

室生犀星

馬込文士村はどこにあるの?

山本周五郎

大田区の大森駅周辺にあります。現在は静かな散歩コースになっています。

大正から昭和にかけて、多くの文士や芸術家が、 大田区の山王から馬込にかけて居を構え、お互いに交流しながら暮らしていました。

北原白秋(きたはらはくしゅう)、萩原朔太郎(はぎわらさくたろう) 、山本周五郎(やまもとしゅうごろう)、川端康成(かわばたやすなり) 、尾崎士郎(おざきしろう)と宇野千代(うのちよ)夫妻など、近代日本の作家たち、 また、川端龍子(かわばたりゅうし)、小林古径(こばやしこけい)、伊東深水(いとうしんすい) 、川瀬巴水(かわせはすい)などの画家や、彫刻家の佐藤朝山(さとうちょうざん)など、 一時期は80人をこえる作家や画家が住んでいました。

のちにこの地区一帯が「馬込文士村」とよばれる所以です。

文士や芸術家たちは互いに交流し合い、ともに遊んだり、恋をしたり、 酒を嗜んだり、愉快なコミュニティーを形成しつつ、 人々に感動を与える数々の作品を創作してきました。

そのような意味で、 「馬込文士村」は世界にも類を見ない価値ある文化遺産といえましょう。 現在「馬込文士村」として認められ親しまれていますが、 今まで多くの研究者や文学愛好家の功績があったことを忘れてはなりません。

「 馬込文士村継承会」は、それら先人の意志を受け継ぎ、 この価値ある有形、無形の遺産を次世代に継承するとともに、 広く世間にその存在とすばらしさを知ってもらうことにより、 地域の活性化と街づくりに貢献したいとの思いから、2000年春、有志数名で結成されました。

文化講演会や散策会の主催を通じて会員を募り、 会員数の拡大に伴って2004年6月にNPO法人となり活動を続けています。 文化を育んできた土壌からは必ず新たな芽生えがある事を確信して、 これからも活動を続けたいと思っています。