真船豊(まふねゆたか)
- 馬込で所帯を持った劇作家・小説家 -
福島県生まれ。【寒鴨】などで秋田雨雀の激賞を受ける。一時文学活動を離れるが、プロット劇画研究会参加により復活。
昭和9年、創作座の講演を期に劇作家として知られる。
【太陽の子】【孤雁】ほかラジオドラマなども手掛けている。
ペンネームは大森十五

昭和六年、自称『文学ルンペン』の真船豊が-最小限度の家賃の家を探して-馬込へ移ってきました。戯曲を書いたり、農村運動に加わったり、新聞社の局員になったりで、なかなか道の定まらなかった真船も、馬込で所帯を持つことになって、とりあえず収入源が必要になりました。
そこで現行を書き始めることになり、『演芸画報』の編集者に有り難いペンネームをもらいます。住まいが大森にあることと、『演芸画報』原稿料が毎月十五円であることから、その名も『大森十五』。翌七年男の子が生まれて、-もはや文学ルンペンでは許されない。(中略)でないと、子供を育てることが出来ぬ-と腹をくくり、定職を探します。しかし働き口はなく、さらに妻の病が再発してしまったために主婦業を余儀なくされます。
結局原稿書きに専念することになり、真船豊の処女作『鼬』が生まれたのでした。
参考文献 染谷孝哉【大田文学地図】


