熊谷恒子(くまがいつねこ)
- 眺望を楽しんだ書家 -
気品ある作風で知られ、かな書道界の巨匠とうたわれた熊谷恒子がはじめて書の先生についたのは、「わが子の稽古に付き添って」のこと、本格的に書道を志したのは三十五歳の時からでした。

常に家庭を大切にし、「よい時代であったから子育てのかたわら書道を続けてこられた」とはいうものの、苦労の多い時代にあって書道と家庭を両立し続けていくことは容易ではありませんでした。「決して過去をふり返ってくよくよしない」人柄と並々ならぬ努力、そして何よりも書への一途な思いがあってのことでした。
馬込の家は昭和十一年に建てられたもので、庭の花を見渡せる一階の書室で作品ととりくんでいたそうです。
参考文献 月間【おとなりさん】 冬樹社 【私の転機・こころの手紙】


