尾崎士郎(おざきしろう)

愛知県生まれ。大正9年、21才の時に応募した【獄中より】が入選、小説家としてスタートする。
【人生劇場】は青春編~望郷編まで7編に及ぶ大作で、彼のライフワークとなった。
他の主な作品では【篝火】【高杉晋作】などがある。

(1892~1968)

馬込放送局  

尾崎士郎は、知り合いの文士たちに馬込住まいをしきに勧めていました。その甲斐あってか馬込の尾崎・宇野家には、以前から馬込に住む文士と新たに映ってきた文士たちとが代わるがわるやって来るようになります。
士郎は-人に愛されすぎるのが唯一の欠点のような男-で、いつしか馬込の-ガキ大将的な存在-になり、大将宅は-誰が来ようが、訪問客があれば酒になり、飲めばたちまち議論となる-のでした。
士郎の作品『空想部落』によれば、
-村の出来事が余るところなく彼(士郎)の書斎に伝達されると、、こんどはそれが嘘と誇張にこねかえされてみるみるうちに村中に広がってゆく-
そんな士朗宅についた呼び名が『馬込放送局』でした。

参考文献 尾崎士郎【空想部落】 近藤富江【馬込文学地図】