馬込文士村解説板 真和辻哲郎

執筆の合間に裏畑を散歩した 和辻哲郎(1889~1960) 哲学者・倫理学者・文化史家

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兵庫県生まれ。
主な作品
【ゼエレン・キェルケゴオル】【偶像再興】【古寺巡礼】【日本古代文化】【人間の学としての倫理学】【風土】など。【倫理学区】昭和30年文化勲章受章。

和辻哲郎は明治四十五年に結婚し、新居として山王へ移ってきました。
住んでいたのは-二十坪の賃家で、同じようなのが三軒並んでいる真ん中の家-でした。執筆に疲れると、当時はまだ畑や林が多く残っていた家の周りを夫婦揃って散歩し、『埴生の宿』や『ロレライ』を口ずさんだこともあります。
哲郎は第二次『新思潮』の同人になるなど文学を志した時期もありましたが、次第に「断片的なミゼラブルな人の文壇に、ありふれた小さな仕事をして、溌剌たる若い時を送りたくない」と感じるようになります。山王ではもっぱら『ニーチェ研究』の執筆に専念し、この作品が哲郎にとって初の著作となりました。この家に大正四年まで住んでいましたが、その間には谷崎潤一郎や小谷内薫、芥川龍之介らとも交流がありました。

参考文献 染谷孝哉【大田区文学地図】

 

 

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