馬込文士村解説板 日夏耿之介

「大森丘の会」のひとり 日夏耿之介(1890~1971) 詩人・英文学者

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長野県生まれ。
芸術至上的な詩集【転身の頌(しょう)】【黒衣聖母】で民衆詩派と対立。日本初の体系的詩史【明治大正詩史】は、読売文学賞を受賞した。文学博士、飯田市名誉市民。

『われら大森グルッペ』
 馬込に大勢の文士たちが入り込み、文士村と呼ばれるほど賑やかになる以前(明治末期~大正期)、芸術家たちの会合があちこちで開かれていた時期がありました。山王の望翠楼ホテルでも、近くに住む芸術家たちが集まって『大森丘の会』を開いていたことがあります。ただし会合といっても堅苦しくなく、馬込の住人である日夏耿之介、小林古径、川端龍子、真野紀太郎、長谷川潔ほか知り合い芸術家同士の『だべり会』でした。
同じ頃、山王大貫横町に住む版画家の長谷川潔宅にも文士や芸術家がたびたび寄り合っています。
こちらは同人誌『仮面』のメンバーが中心で、堀口大学や後に馬込へやって来る北原白秋、室生犀星らの姿もありました。この頃のことを日夏耿之介は-われら大森グルッペは、文士画家の集合で…(中略)…この時代ほど各芸術の相互影響を身をもって試した時期は、前になく後にもなかったと思う-とのべ、大正末期からの馬込文士村とはひと味違った雰囲気があったことをうかがわせています。

参考文献 日夏耿之介全集【長谷川潔】 新潮日本文学アルバム【大正文学アルバム】

 

 

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